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HOME > 講義・ワークショップ > 講義・ワークショップ等の報告 > 第3回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の講義報告です(H26年度)

講義・ワークショップ講義・ワークショップ等の報告

第3回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の講義報告です(H26年度)

2014年06月03日

平成26年5月29日(木)、品川キャンパス白鷹館2Fで、平成26年度第3回高度専門キャリア形成論が開催されました。

『真珠養殖の最前線』
 永井 清仁 氏(株式会社ミキモト 真珠研究所長)


初めに神田先生から開会の挨拶があり、モデレーターの瀬川先生にバトンタッチされました。
現在、瀬川先生は網走で東京農業大学生物産業学部の教授をされています。

瀬川先生による永井氏の紹介

永井さんとは研究室が同じで、趣味も同じチェロであり、以前から良く知っていた。永井さんは、企業で研究活動を続ける過程で論文博士を取得された。

瀬川先生が、「民間企業での研究が、大学での研究とどう違うかを学んでほしい」と述べた後に、永井氏の登壇となりました。

真珠は、生物が作る唯一の宝石

初めに、ミキモト社の会社紹介があり、創業者である御木本幸吉氏と、真珠養殖を教示した箕作佳吉博士の紹介があった。真珠養殖の歴史は16世紀から始まっており、当初はお守りや土産物として認知されていた。1930年頃には、真珠の養殖技術はほぼ完成し、日本の技術が世界最先端になった。
養殖真珠は、水圏環境の中で生物の機能を利用して成り立っている。具体的には、外套膜の小片と貝殻から作る真珠核を、貝の体内に組織移植する挿核手術によって作られている。この技術は、100年位前に日本で開発され、現在では世界中で利用されている。

永井氏は、学生の頃から貝や貝殻に非常に興味があり、卒業後の就職先を探しているときにミキモト社の存在を知ったそうです。「当時は求人も出ていなかったが、果敢にチャレンジすることによって、ようやく同社に就職することができた」と就職活動について話されました。

質の良い真珠養殖のためには、常に海の環境を調べて、貝の健康を管理することが重要

1990年代に、国内のアコヤ真珠の生産量が1/3に激減する事態となった。これには、二つの要因があった。

①新型の赤潮(ヘテロカプサ赤潮)が英虞湾で大量発生した
この新型赤潮は、海水の着色が無く、数十~数百細胞でも貝に悪影響を及ぼし、無害のプランクトンとの判別が難しい。しかし、貝がこの有害プランクトンに敏感に反応することが分かり、九州大学の本条先生と共同で「貝リンガル」の開発に至った。生物に、海の環境異変を教えてもらうという発想に転換したのだった。

②病気(赤変病)が発生した
新型赤潮の被害に、追い打ちをかけるように病気が発生した。これも、九州大学と共同で調査した結果、感染症であると判明した。低水温漁場を用いた病気の抑制方法を発見することができ、このことを論文として発表することにした。

ミキモト社の様々な取り組み

これまで大学と一緒に様々な研究や活動をしてきた。これからも、産業の持続的発展や新しい産業の発展のために、大学と企業との連携は非常に重要になってくると痛感している。

  • –大学と県と協力して、天然の貝の種苗を増殖する養殖場を、福岡県相島で実現した。
  • –海を汚さないために、真珠を採取した後に残った全てを食用、肥料等々に活用している。
  • –真珠の品質を検査するために、独自に非破壊検査装置を開発している。
  • –真珠を利用した海洋教育の一環として、観察会を東京大学と一緒に開催している。

受講者へエール

企業に入ってから、研究スキルを身に付けることは非常に大変なことだ。企業に就職すると、様々な課題が与えられる。その時に、皆さんが学んできたことがもの凄く役に立つ。

「皆さんも、社会に貢献できるように頑張ってください」と受講者にエールが送られました。

質疑応答

続いて、質疑応答の時間が持たれた。
Q/A-1 「貝リンガル」で海の異常を発見した時は、どのように対応しているのか?
Q/A-2 巻貝でも養殖真珠ができるのか?
Q/A-3 貝の状態が悪いと分かったとき、現場の対策は自動化されているのか?
Q/A-4 アコヤガイの健康な状態とはどのような定義か?

 

最後に瀬川先生が、「スキルをきちんと身に付けることが大事だ。そうすれば活躍する場所が見えてくる。永井さんは、まだまだ活躍する場所の可能性があることを教えて下さった」と述べて講義を締め括られました。

以上

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