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HOME > 講義・ワークショップ > 講義・ワークショップ等の報告 > 第7回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の講義報告です(H27年度)

講義・ワークショップ講義・ワークショップ等の報告

第7回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の講義報告です(H27年度)

2015年11月30日

平成27年11月19日(木)、品川キャンパス・2号館100A教室で、平成27年度第7回高度専門キャリア形成論が開催されました。

 『博士人材、企業の最前線で働く』
 ~ 研究の知で日本の水産を変える仕組みを創る ~
   南場 敬志 氏 博士(海洋科学)、株式会社リバネス研究事業部
 ~ 海洋機器を世界に売り込む技術営業 ~
   國分 祐作 氏 博士(海洋科学)
   JFEアドバンテック株式会社海洋・河川事業部 貿易室
 2015-11-19_160531 (600x225).jpg

最初に、キャリア開発室の神田室長から「本日は、海洋大OBで現在は営業職に就いている2名が発表されます」と開会の挨拶がありました。

続いて、司会進行役の塩谷特任教授の紹介で南場敬志氏が登壇されました。

南場氏は初めに、「語りたい夢を言える人はいますか?」と会場の出席者たちに質問を投げ掛けました。あるマンガがきっかけで航海士を志していたと、自己紹介がありました。しかし、現場で漁業に関する様々な課題を見聞きするうちに、少しずつ考えが変わってきたこと、そして水産業の課題を発見し、それを解決する道があることに気付いたことが、専攻科ではなく大学院に進学することに決めた理由であると説明がありました。


IMG_0450 (144x144).jpg研究者になるか民間に行くかで悩んだときは、今の道を選んだ原点を思い出して魚市場に就職することにしたが、仕事と生活はとても厳しいものであった。しかし、生産・加工・流通・販売という水産業の一連の流れを全て経験することができ、現場ではどのような課題を抱えているかも見ることができた。現場では、自社技術だけでノウハウを構築していることが多いことも分かってきた。この時の経験は、今でも自分の宝になっている。

続いて、大学で研究・開発された知見が現場まで届いていないこと、そして現場も大学の研究成果を使える仕組みができていないことにについて説明がありました。また、そんな時に出会ったリバネス社は、全社員が修士以上で、半数は博士という様々な分野の研究者人材で構成されていると紹介がありました。


リバネス社でならば、様々な分野のサイエンスブリッジが自分の課題を解決してくれると考えた。そして、企業や現場のニーズを実現するために、大学や研究所にパートナーを見つけ、分かり易い言葉で双方がコミュニケーションできる場を提供することが今の私の仕事だ。年間で100以上のプロジェクトに関わっているが、私自身の軸は一貫して『サイエンスを分かり易く伝えること』である。
アカデミック・ポジションでも研究職でも、科学を分かり易く伝えることさえできれば、様々な課題は解決できる。そこで、もう一度皆さんの夢を問いたい。私の夢は、『研究の知を適切に相手に伝えるコミュニケーターとして、日本の水産業の課題に向き合うこと』であり、これを実現するために仕事をしている。皆さんも、自分の夢をメッセージで伝えられるようになって欲しいと思っている。

終わりに、「皆さんの研究は必ず社会の役に立ちます。そして、それを活かす場所と、相手が必ずいます。分かり易く伝えるコミュニケーションの力を、私と一緒に見付けていきましょう」と述べて、講演を締め括られました。

続いて、質疑応答に移りました。

Q1:研究者になるか民間企業に行くかを悩んだとき、決断するきっかけは何だったのか?また、教育事業をビジネスとして回すための資金はどうしているのか?
A1:アルバイト等で大学以外との繋がりが多かった。今では、魚市場での観察も研究の一部だったと思っている。本当に研究が好きだったら、もっと自由に自分の研究フィールドを選んでもいいんじゃないかと考えるようになった。また、環境教育のビジネス化についてはリバネス社も研究中であり、これからどうやって持続可能なビジネスにしていくかが課題である。(南場氏)

次に、國分祐作氏が登壇しました。

初めに、カナダへの留学やドイツの研究所で働いた経験等について自己紹介がありました。また、JFEアドバンテック社には博士号を取得する前に入社したと話があり、JFEアドバンテック社の会社概要と事業内容および取り扱っている製品概要等についての紹介がありました。


IMG_0452 (144x143).jpg元々、機械系のことが好きで、こんな改良を誰かに伝えたい、こんな機能の機器を作ってみたいと、会社に入る前から考えていた。そして、それを自分で作ってビジネスに繋げてみたいと思うようになった。実際に入社して売る側になってみると、標準品を求めるユーザーは信頼性が高く安定したものを求め、特殊な機器を求めるユーザーはより新しく特別な機能を持った機器を求めていると分かった。営業は、この両方の顧客に対応しなければならないが、大学での研究はもちろんのこと、航海科にいた経験も活かせると思った。

続いて、営業の様々な業務とそれに求められる能力・スキルについて説明があり、1つだけでなく複数の能力やスキルが必要となること、そして製品知識だけでなくプラスアルファによる総合的な営業活動が必要になると説明がありました。また、大学院や国外での研究と企業活動との関わりについては、勉強は勿論のこと、現場での作業経験や研究者との触れ合いが貴重であり、会話力や文化の理解等のコミュニケーション力が育まれると説明がありました。


レースヨット、ライフセービング、そして社会人になってからのヨット部での経験も、プラスアルファとなっている。バックグラウンドの情報は何時何処で必要になるかは分からないので、事前に色々な情報を収集しておくことが非常に重要になる。そういう経験が多い方が、様々なシチュエーションで有利になると思う。

終わりに、「海洋の分野は非常に総合力が試される分野であり、研究に加えてビジネスでも使える技術を経験するチャンスでもある。皆さんも、国内外を問わずに通用する人材になって欲しい」と述べて、講演を締め括られました。

続いて、講演者の2人が前に出て、塩谷先生および参加者からの質疑応答に移りました。

Q1:学生の頃は、営業職をどう考えていたか?
A1:学生時代には営業に就く考えは無かった。今いる所は非常に仕事の幅が広く、一般的な営業とは少し違うかもしれない。(國分氏)
水産業に貢献したい気持ちが強かったので、営業でも企画でも何でも良かった。魚市場での営業は辛かったが面白かった。(南場氏)
Q2:学部生の頃は、将来についてどう考えていたか?
A2:あまり遠い所は見ずに、ヨットやライフセービングばかりをしていた。今できることに集中し、遠くにある何かを創り出すことに一生懸命だった。(國分氏)
夢が無くて就活は不安だったが、それでもカッター部で一生懸命だった。(南場氏)
Q3:専攻科に進学した後に、大学院に進んだ理由は?
A3:専攻科は入学時から狙っていた。機械が好きだったので、もっと機械を使ってみたいと思い、大学院に進んだ。(國分氏)

最後に、塩谷先生から纏めの話がありました。

学校では何時間勉強したかが問われるが、企業では価値を創出しなければ意味が無い。現場のニーズを理解するために、全ての社員が一度は営業を経験するという企業もある。どんな職種でも、現場に自分から積極的に飛び込んでいき、顧客の信頼を勝ち取ることが重要だ。

終わりに、「昔は、営業はやる気と根性だけだったが、今は専門性とグローバルが求められているので、皆さんもプロフェッショナルを目指して欲しい」と述べて、講義を締め括りました。

以上

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