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HOME > 講義・ワークショップ > 講義・ワークショップ等の報告 > 第8回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の講義報告です(H26年度)

講義・ワークショップ講義・ワークショップ等の報告

第8回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の講義報告です(H26年度)

2014年11月26日

平成26年11月20日(木)、品川キャンパス・楽水会館で、平成26年度第8回高度専門キャリア形成論が開催されました。

『企業の研究所に広がる可能性』
  ~ 夢を持って社会に出よう! ~
  河口 友美 氏 日本ハム株式会社中央研究所 研究員(農学博士)

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最初に、キャリア開発室の塩谷特任教授から講演者の略歴が紹介され、河口氏の登壇となりました。

河口氏は初めに、「海洋大修士卒で就職した9年間のキャリアを紹介することで、社会に対して夢を持つと共に、キャリア形成を考える参考にして欲しい」と講義の目的を話されました。

海洋大での生活について

学部生時代のエピソードとして、転学科したこと、女子野球部を創設したこと、1か月の乗船実習に参加したこと等々が紹介されました。やりたかったことを次々と実現し、スパイクで授業に出席するような学生生活だったそうです。


IMG_0158 - コピー (144x144).jpg修士課程に進学して、研究に対するスタンスと面白さを教わり、将来研究職に就きたいと思うきっかけになった。代理親魚の養殖技法に関連した修論テーマは、後輩たちに受け継がれて論文化されたと聞き、嬉しく思っている。毎日の研究はとても充実していたが苦しい日々でもあり、進学するか就職するかで悩んだ。そして、自分の目で企業を見てから決めようと就職活動を始めたところ、企業での研究も面白いと思うようになった。

修士卒で企業の研究所に就職

ここで、河口氏を含めた社員が出演する日本ハムグループのCM動画が紹介されました。日本ハムの売上は、実は食肉が50%以上を占めており、ハム・ソーセージや加工食品は30%だそうです。


企業における研究で大切なことは、組織に利益をもたらすことであり、その手段は『売り上げに貢献すること』と『企業価値を上げること』の2つである。入社後すぐに中央研究所に配属となって以来、食品の機能性に関わる研究に従事している。企業研究者は、最終ゴールを意識して、仲間と協力しながらチームとして研究を行うことが大切であり、一人で研究するよりも大きな仕事ができる。

企業から博士課程に進学して


広島大学生物生産学部との間で、研究協力に関する協定が結ばれたことで、同大の博士課程を社会人枠として受験する機会が得られた。2011年に入学し、2年目からは広島大学に駐在勤務となり、大学の中で会社の仕事をするという『二足のわらじを履く』ことになった。

IMG_0141 - コピー (144x144).jpg授業の講師としてベーコンやソーセージを作る実習風景や、大学院生としてのゼミ旅行等の写真が、楽しかった思い出として紹介されました。しかし、社会人でありながら大学院生として研究を続けることはとても大変で、色々な仕事を同時に進行しなければならず、実際はとてもキツイ毎日だったそうです。ようやく迎えることができた2013年の学位授与式では、偶然に誕生日と重なったこともあり、感極まって涙が溢れる体験をしたと話されていました。 

企業研究者としての楽しみと満足感


企業研究者は、好きという理由だけでは研究はできない。経営陣を納得させる、費用対効果のストーリーが必要となる。また、決められた時間内に成果を出さなければならず、「頑張りました」だけでは通用しない。短い時間で、スマートに結果を出さなければならない。一方、自分の研究が形になって世の中に出ていくことに、企業研究者としてヤリガイを感じる。また、研究所内外との連携で多くのことを学ぶことができるし、企業理念のもとに一致団結した仲間に恵まれるのも良い点だ。

私の就活体験


2014-11-20_162618(1) (144x144).jpg就職面接で何を話せばよいか?とよく聞かれるが、企業は様々な人材を求めているので模範解答はない。また、嘘をついて入社しても結果的にミスマッチとなる。自分の本質(幹)をしっかり持てば、何を聞かれても返答がブレることはない。学生時代に身に付けたことを、自信を持ってアピールすればよい。

 

河口氏にとっての幹とは、一貫して『根性と行動力で研究を続けて行きたい』だそうです。また、自分の好きなテーマを、好きに実験できるのは今だけであり、内定後は死ぬほど実験してきてほしいと強調されていました。また、入社した後には、企業にしかない楽しみが待っているので、今は大学院でしかできないことを楽しんでほしいと述べて、社会人となった現在の楽しい写真が紹介されました。

ここで再び、総集編のCM動画を全員で観て、「皆さんのキャリア形成の一助になれば幸いです」と述べて、河口氏の講演が締め括られました。

質疑応答

続いて質疑応答に移った。

Q1:社会人になってから博士課程に入学すると最初から決めていたのか?
A1:論博で学位を取得したいとは思っていたが、初めから博士課程に社会人入学しようとは考えていなかった。入社後に、広島大学との共同研究の窓口となったことが、社会人入学の機会が与えられるきっかけとなった。

Q2:短い時間でスマートな結果を出すために、リスク回避として大切にしていることは何か?
A2:大学の時とは違い、下調べ(調査)にたくさんの時間を費やしている。

Q3:日本ハムに入社して良かったと思うこと、および今後の目標は何か?
A3:同じような考え方をする人が集まっており、良い仲間に恵まれていると思っている。また、研究は企業の中の一部分であり、本社の人と話をすると、如何に自分の知識が足りないかを痛感する。例えば、商流についてもう少し勉強したいと思っているところだ。

Q4:苦難に遭遇し、自分をリフレッシュしたいときに、明日からでも使える独自の方法があれば教えて欲しい?
A4:3つ程ある。①自分が信念を持ってやっていれば、誰かが見ていて分かってもらえる。②一生懸命に会社や組織のためにやっていれば、いつかは報われる。③仕事じゃないことを考える時間を持つ。特に、良くないことがあった時は、意識的に忘れる努力をしている。
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塩谷先生から、「素晴らしい講演でした。根性と行動力で、良い仲間たちと共に良いキャリアを重ねている河口さんは、まさにプロフェッショナルだと思います」と、賛辞が述べられて講演が締め括られました。

最後に、塩谷先生が次回キャリアデザインシリーズ第4回目(12月18日)の講義内容を紹介して、本日の講義が終了しました。

以上

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