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HOME > 講義・ワークショップ > 講義・ワークショップ等の報告 > 第7回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の報告です

講義・ワークショップ講義・ワークショップ等の報告

第7回「高度専門キャリア形成論Ⅰ・Ⅱ」の報告です

2013年12月17日

 文科省主催「ポストドクター・キャリア開発事業シンポジウム2013」に参加してきました

今回の「高度専門キャリア形成論」は、標記のシンポジウムへ参加することで、第7回目の講義に替えて実施されました。尚、学生は90分以上の参加で、単位取得のための出席要件とされました。


1. 文科省科学技術・学術政策局次長の伊藤氏が開会の挨拶

最初に、本事業に関するこれまでの活動に対して敬意と感謝が述べられました。
本事業には、現在までに36大学が参加しているそうです。特に、国際社会で持続的に活躍するためには、人材の開発が欠かせない。本日のシンポジウムでは、企業の目と育てる側の目の両方から講演をお願いしている、と開会の挨拶がありました。

2. 文科省人材政策課長の和田氏が本事業について説明

H21の調査では、PDは全国で約15,000人いるそうです。特に理学と農学では、学位を取ってからの5年間は約3割がPDだそうです。また、そのうち74%が複数回のPDを経験しているが、15%は途中で職種を変更しており、そのうち半数が大学の教員となっているそうです。同調査によれば、PDは民間企業への就職意欲が高いが、企業のPD採用は極めて低い状況となっていると報告がありました。
本事業で、これまでのインターンシップ修了者は881人で、受入企業数は649社(内38社が海外)であり、事業として実績をあげていると評価している。来年度は、マッチングのためのコンソーシアムの構築を目指したいと説明がありました。

3. 東京工業大学学長の三島氏が基調講演

三島氏から、東工大のグローバルリーダー教育院の取り組みについての紹介がありました。同取り組みでは、特に学生の気概を重要視しており、やる気のある学生を選抜する仕組みとして、一橋大学と共同で道場制によるオフキャンパス教育を運用しているそうです。
三島氏は、DCからいきなり養成しようとしても無理があり、入学当初から雰囲気を身に付けさせることが必要であると述べられました。また、そうした素地の上に各施策を施すと、もの凄く効果がある。その為には教員の役割が重要であり、MCやDCに進学する意味を考えさせるような教育をすることが必要であると述べて基調講演を締め括られました。

4. 博士人材の活躍事例を紹介

① スパイバー社の関山氏によるベンチャー起業に関する事例紹介
もともと学位を取ることには興味が無く、自分のやりたい研究を続けるための環境を探していた。博士課程には進学したが、直ぐに起業して退学してしまったそうです。関山氏は、新しいことを切り開くことが楽しいと感じる人でなければ、ベンチャーの起業は難しいだろうと述べられました。また、専門分野を自分の中で決めてしまうべきではなく、企業ではどんな分野でも必要に応じてエキスパートになれる人が求められていると述べられました。

② プラセラ社の野中氏による民間企業に就職した事例の紹介
最初はアカデミアを目指していたが、3年間のPD経験で、研究だけでやっていくのは難しく、自分の資質とは違うと思い始めたそうです。その後、大阪大学の課題提案型インターンシップでプラセラ社と出会ったことで、専門分野であるタンパク質で社会に貢献したいと考えるようになったそうです。現在は同社のバイオマーカーで病気を早期に診断することを可能にする仕事に従事し、研究センター長として実験やデータ解析の指示や、課題の解決に日々取り組んでいると説明がありました。

③ 大林組の末田氏による意外な業種への就職事例の紹介
末田氏は、DCに進んで最初に思ったことは、「博士が就職するまでの流れが分からない」、「私はどこに行けるのだろうか?」だったそうです。
建築業界にも、農学部の出身者は意外といる。例えば、緑化や貴重種の保全や微生物を扱う等の分野があり、末田氏も遺伝子で貴重種を区分する仕事をインターンシップでやったそうです。その際に思ったこととして、企業に見えていないところを分かるように説明することが大事だそうです。そして、企業から評価してもらうためには、自分を過小評価せずに自信を持って行動すること、自分の専門をアピールし過ぎないこと等を挙げて説明されていました。

5. パネルディスカッション(以下、発言者名は省略。)

初めに、コーディネーターの宮田氏およびパネラー6人の自己紹介とそれぞれの意見が紹介されました。

① 続いて、「大学が考える博士人材の質」について意見が述べられました。

  • 殆どの学生は、アカデミア志向だけでDCに進学しているので、行き詰った時に困ってしまう。
  • 学生が企業に就職したいと考えた時に、その前に何を学ぶ必要があるかを真剣に考えてDCに行くようにならなければいけない。
  • 本人が10年後のあるべき姿と、そこに至るプロセスを見ているか、また学生が将来どういう博士になるかを教員が見ているかが大切である。

② 次に、「企業が考える博士人材の質」について意見が述べられました。

  • 博士は、課題を見付け、自分で解決する力を身に付けており、自立した研究者であると認識している。
  • 企業は、常にその人の向き不向きを考えて進路を変更している。その意味で企業側も、企業内のキャリアパスについて、もっと外に伝える努力をしなければいけない。
  • 企業では研究テーマが次々と変わるので、10年後には1割しか研究職に残っていないこともある。
  • 欧米の学生は早くからキャリアパスを考え、その為に何を学ぶかを考えてMC/DCに進んでいる。
  • ベンチャー起業の成功は革新的な技術ではなく、実は仲間とのチームワークやコミュニケーション等である。そのことは、論文を作る過程でも必ず必要となるはずだ。

③ 次に、双方のギャップを埋める方法等について意見が述べられました。

  • 大学に於いて、人材育成の品質管理をすることが必要ではないか。
  • DCのカリキュラム改革が最終目的と考えているという意見があり、大学院共通講義を設けて対応している大学の事例紹介があった。
  • 進んだ大学の事例を全国に展開して欲しい。そして、最終的にDCやPDが幸せになるために、必要な能力を身に付ける・教えるという考え方を持つことが大切ではないか。


最後にコーディネーターの富田氏が、「それぞれの方がそれぞれの立場で意見を述べられたが、皆さんは同じことを言っていると理解した。」と感想述べられました。また、専門的な知識を習得するのは当然であり、その上で更に問題解決能力や柔軟な応用力等が必要とされている。大学での教育は知識偏重ではないかと思っており、「知識だけではなく心も教えてほしい」と述べてパネルディスカッションを締め括られました。

6. 引き続いて、別会場で参加者による情報交換会が開催されました。

以上
 

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